ルームシューズ ストーリー #1
福島県浜通りの北部、太平洋沿岸にある相馬市。
相馬市の中心から車で30分程いくと、ルームシューズの編み手さんが生活する仮設住宅があります。そこで女性達たちは、週1~2回集会所に集まって、編物やフェルト化の作業をしています。
ルームシューズのパーツを黙々と編む女性
フェルト化の作業をしながらおしゃべりを楽しむ女性
初めて訪れた場所だけど「ほっ」とするような、暖かい空間がそこにはありました。
「はじめまして」から始まって
お互いにアドバイスをしながらスイスイと編んでいくのをみると、
ここは編物が得意な人が多いのだなと思ってしまう。そして皆さん本当に仲良しだな、と。
けれども中には、「最初は、編み図も読めなかったよ」という方も。さらに「私たちは同じ村出身だけど、とても大きい村だからね。最初は知らない者同士だったんだよ」
女性達の出身地は、相馬郡飯館村。
人口は約6,000人もある大きな村(東京でいうと奥多摩町と同じくらい)で、そこには沢山の暮らしがあり、そして女性達の多くも震災前は酪農や農業に従事していました。
編み物も、仲間も「はじめまして」だったのです。
一般社団法人あむえこねっとの笹久保孝子さん
そんな女性達が、黙々と編み棒を動かし、スキルをぐんぐんあげて、
集会所で作業することが楽しみの一つになったのには、1人の編み物の先生の存在がありました。
一般社団法人あむえこねっと代表理事の笹久保孝子さん。
神奈川県で編物講師として約15年活躍している編み物のプロです。
笹久保さんが知人の紹介でこの仮設を訪れたのは約3年前、震災翌年の5月のこと。
仮設住宅の集会所で編み物をしている方達の笑顔を見たときに、
大変な暮らしの中でも、編み物の持つ癒しの力を改めて認識し、
「自分のスキルが役に立つかもしれない。」そう感じ、すぐに編み物教室の開催に動きました。
編み物教室開催の希望が多いときには、2日間で午前中・午後と4~5箇所の仮設住宅を駆け回ったこともあったそう。また、毎回数十人を教えることは、まさに体力勝負。
「大変だったけど、その時は自分が出来ることに一生懸命だったからね。」
そう気さくに話してくれる笹久保さんは、いつも笑顔が絶えません。
しかし、活動を3年間継続してくる中では、困難に直面することもありました。
つづく。
商品の詳細はこちら 春先足元の冷えに ウールのフェルトルームシューズ
「集会所から見える空」