アルパカとその仲間たち(南米大陸に渡った4種類のらくだ:アルパカ、リャマ、ビクーニャ、グアナコ)
2024年は、国連が定めた国際ラクダ科どうぶつ年です。
ラクダというとアジアや中東、アフリカのヒトコブラクダや
フタコブラクダが思い浮かびますよね。
でも実はアルパカもラクダ科の動物です。
さらに南米にはグアナコ、ビクーニャ、リャマと
四種類のラクダ科動物が生息しているのをご存知ですか?
☆リャマ
アンデスでは家畜として飼養されているリャマは、
南米のラクダ科動物の中で最も大きく、
すらっとした細長い体に小さな頭が特徴。
体の大きいリャマのオスは荷物を運ぶ家畜として重要な役割がありました。
牧民は40kgほどの荷物をリャマに背負わせ、
山のふもとまで降りて交易を行ってきました。
☆アルパカ
アルパカは、湿地を好み、高地に適応しているので、
プーナと呼ばれるペルーとボリビアの標高4,000m以上の地域で
家畜として飼養されています。
アルパカの品種は大きく分けて二つ、
もこもことした短めの毛が特徴の「ワカヤ」と
繊細な毛が地面近くまで長く垂れた「スリ」がいます。
荷運びに利用されてきたリャマとは対照的に、
アルパカは主に毛を利用するために飼育されています。
毛はその手触りの良さから、世界でも最高級繊維の一つとして
重宝されてきました。
ラノリンという成分が含まれていないアルパカの繊維は
アレルギーを起こしにくいと言われています。
毛の色はバリエーションに富んでいて、黒からグレー、ブラウン、
白までその数は22種類もあるそうです。
ペルーはアルパカ繊維の有数の生産国で、
世界の飼育頭数のおよそ85%、360万頭を飼育しています。
見た目も似てる?!
アルパカもリャマも家畜として飼養されてきたラクダ科動物ですが、その違いは?
主に荷物を運ぶ役割を担っていたリャマと違い、
アルパカは丸っこい体にふわふわの毛が特徴で、
刈られた毛は繊維や織物に用いられています。
また、好むエサにも違いが。
比較的乾燥した牧草を好むリャマに対し、
アルパカは水分を多く含んだ高地の湿地帯の草を好んで食べます。
価値のある資源として古代ペルーの発展に不可欠な存在だったリャマやアルパカ。
肉は食料、骨は針や織物を折る際の道具、毛は繊維や織物、
排泄物は木に変わる燃料とするほか肥料としても用いるなど、
人々は余すところなく利用してきました。
あの有名なナスカの地上絵にも
紀元前400年から紀元前200年ごろに製作されたと見られる
リャマとみられるラクダ科動物が見られます。
☆ビクーニャとグアナコ
ビクーニャとグアナコは家畜化されることなく現在まで生息する野生種。
ビクーニャは比較的体が小さく長い首と細い足が特徴で、
優雅でエレガントという言葉がぴったり。
雪を頂いた山々の近く、アルパカと同様湿度の高い牧草地や湿地を好みます。
ビクーニャの毛はシルクのような柔らかく、
繊細な明るいシナモン色は非常に独特でビクーニャ色と呼ばれるほど。
インカ時代にこの毛を使用できるのは王とその親族だけ、
狩猟は4~5年に一度と厳しく制限されていたと言われています。
非常に警戒心が強く、人が近づくのも困難で、
現在も毛の刈り取りはインカの伝統を引き継いだ「チャク」と呼ばれる
特別な方法で行われています。
イタリアのラグジュアリーブランド、ロロ・ピアーナが
長年その繊維を利用したウエアを製作していることでも知られています。
その手触りの良さから毛が高値で取引されるビクーニャは、
インカ時代に200万頭生息していたものの乱獲や病気によりその数が激減、
1960年代のペルーでは5千頭ほどにまで減ってしまいました。
国をあげて保護政策を進め、
2012年の調査では20万頭ほどまで回復。
過去にスーパーマーケットのイオングループが
アルゼンチンでビクーニャの保護活動を行ったこともあります。
グアナコの生息地は南米のラクダ科の動物の中で最も広く、
パタゴニアをはじめ、ペルー北部からチリ中央部までのアンデス山脈、
ペルー海岸地帯まで広く及んでいます。
体毛は明るい茶色で、胸、腹部、脚の部分と、
顔も目の下から口元まで真っ白な毛で覆われています。
走ると速く、さらに泳ぐこともできるとか。
南アメリカでは何世紀にもわたって原住民にとって狩猟動物だったこともあり、
生息範囲も広いことから、それぞれの土地でいろいろな名前で呼ばれてきました。
グアナコはペルーの先住民の言語であるケチュアでの呼び方。
アラウコ族の言葉ではルアン、プエルチェ族はピチューア、
パタゴニア南部ではナウと呼ばれているそうです。